国産メーカー発の多焦点眼内レンズ”Gemetric”が使用できる様になりました〈横浜市医 梅の木眼科クリニック〉

query_builder 2024/09/16
白内障
CRST Gemetric Visual_V1_0

まだまだ残暑が厳しいですが、日が暮れた後の風は少し秋を思わせるようになってきましたね。自民党の総裁選やアメリカの大統領選挙など大きなイベントがここ最近盛りだくさんでニュースを見ていても今後の動向が気になる今日この頃です。


先日の目の相談会でも雨が降ったり止んだりしている中、たくさんの方がいらしてくださり、日頃受診するほどでもないけど聞いてみたい様なお悩みのご相談に乗れた様に思います。年に一度ではありますが、また来年行われる際にはご連絡したいと思いますので皆様ふるってご来場いただければ幸いです。


さて、今回は国産メーカーである株式会社HOYA発の多焦点眼内レンズ、Gemetric(ジェメトリック)のお話です。HOYAさんはメガネのレンズやコンタクトレンズなどレンズの製造に長けているメーカーさんで、単焦点眼内レンズも多くの白内障手術で使用されている実績があります。




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Gemetricはいわゆる三焦点眼内レンズで、選定療養の多焦点眼内レンズではパンオプティクスやファインヴィジョンと同じ部類になります。

レンズのデザイン的には、中間(80cm)/近方(40cm)と比較して遠方のエネルギー割合が高く、中心3.2mm径内に回折ゾーンがあり、それより外側に回折ゾーンはないことから、遠くの見え方を犠牲にせず、中間距離と近くの見え方を確保するための光配分になっており、不快光視現象の低減を期待するデザインになっています。

夜間の散瞳による遠方の視力低下を抑える様なデザインにしている様です。


また、乱視のある方の現在の多焦点眼内レンズの選択肢は、今までパンオプティクスのみであったのが、乱視用も発売されたことで、選択の幅が広がったのがありがたいです。


眼内レンズの素材も以前より定評のあるVivinex素材であるので長期的な安定性も問題ないものと思います。





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三焦点眼内レンズが増えてきたところで、何が違うのか、どれが良いのかと悩むところですし、これからも新しいものが出てくることが予想できます。


この中で、何がこのレンズの強みかというと、私的にはプリセットであるということだと思います。

通常の眼内レンズはレンズと挿入器具が別々になっており、挿入時に挿入器具(インジェクター)にセットして眼内にレンズを挿入します。セットする際にレンズをピンセットで優しく持って準備するので気を遣いますし、毎回同じようにセッティングができなかったりするので、眼内に挿入する際のレンズの出方が一定にならなかったり、挿入前に詰まって出なかったりの原因になりやすいのです。

しかし、プリセットは最初からレンズがインジェクターにセットされているので、セッティングによるエラーが著しく少なくなり、挿入時の安定性もよくなるのです。HOYAさんのインジェクターは以前よりとても使いやすく、個人的には今現在使用しているレンズの中で3つの指に入る操作感と思っています。

また、プリセットのもう一つのメリットは、レンズの汚染リスクを軽減させることにあります。通常のレンズのセッティングでもほぼほぼ汚染することはないのですが、レンズを空気中に取り出して、セットするまでに何かしら余計なものがついてしまうことがあると言われています。プリセットにすることで、そのリスクが低減するので感染予防という面でも安心感が強いのです。

手術時における感染のリスクはゼロにすることはできないですが、少しでもリスクを減らすという意味ではプリセットは大きな強みだと思います。

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どの眼内レンズが最も良いかと言われると、考えてしまうところです。Gemetricは遠方の視力の安定のためにやや近方が弱いところがある様です。これに対しパンオプティクスは中間が強く、ファインビジョンは近方が強い様な感覚です。あくまで理論上なので、実際入れた時の自覚は人それぞれな様に思いますが、あくまで参考程度にしながら最適な眼内レンズをご相談できればと思います。


海外ではGemetric plusという近方を強めたもう一つの多焦点眼内レンズが出ており、GemetricとGemetric plusを片眼づつに入れると満足度が高まるというデータが出ている様です。

上記は片眼ごとにGemetric、Gemetric plusを挿入した場合の距離別の満足度ですが、どの距離でも90%以上の方の満足度を得られたそうです。


残念ながら日本ではまだ認可が下りていないので使用できないのですが、今後期待ができる使用方法なのかなと思います。


手術の際には眼内レンズを選ぶ際に選択肢が多くなることにより、どうしようか迷うことが多くなります。どの眼内レンズを選択するのか、高ければ良いのかというとそういうわけではありません。ご自身の裸眼で見たい部分が明確になっていれば、その部分をしっかり見える様にするのが良いでしょうし、メガネを極力使用したくない方は多焦点眼内レンズが有効な手段になると思います。以前のブログで見え方のシミュレーションサイトをご紹介しておりますので、”眼内レンズに困ったら”をお読みいただくと参考になるかもしれません。


梅の木眼科クリニックでは、手術の前によく相談して実生活で見づらくて困っている部分をはっきりすることにより、術後に気持ちよく見える様努めてまいりますので、お気軽にご相談ください。 

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梅の木眼科クリニック

住所:神奈川県横浜市保土ケ谷区西谷1-25-21 ポンデロッサ西谷1F・2F

電話番号:045-371-2666

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