新しい多焦点眼内レンズが使えるようになりました〈横浜市 梅の木眼科クリニック〉

query_builder 2023/09/16
白内障
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多焦点眼内レンズが世に出てきて、とても良いという感想を聞く事もあれば、術後の見え方がいまいちと思われている方もいらっしゃいます。

多焦点眼内レンズは、見え方の質が単焦点よりも落ちてしまうことがあったり、グレア・ハローといった夜間の見づらさにより不便を感じられる事が、術後の見づらさの原因となることが多いです。


色々ネガティブなことを最初に書きましたが、多焦点眼内レンズは見え方を十分理解されて選択した場合、メガネの使用頻度が格段に減る便利なレンズなので、メガネを日常で使用したくない方や、お仕事などでメガネが使用しづらい方の場合はとても良い選択肢だと思います。


しかしながら、多焦点眼内レンズを強く希望されていらっしゃる方の中でも、単焦点眼内レンズをおすすめさせていただく事があります。それは他の眼の病気(網膜疾患、緑内障等)がある場合です。多焦点眼内レンズは、目に入ってくる光を遠くと近くに分けてしまうので、眼の病気がある方が挿入すると、遠くも近くも見づらくなってしまう事があるからです。軽度の異常であれば問題ない事もありますが、術後思いもよらず見づらくなってしまう事もあるので注意が必要です。

多焦点眼内レンズはお勧めできない事があり、ご希望されてもお勧めしない方が良いこともあります。


それでも多焦点眼内レンズを強く希望されていらっしゃる患者様もいらっしゃり、ご期待に添えない事もあったのですが、この度新しい多焦点眼内レンズが発売となりました。それが”Clareon Vivity”(クラレオン ビビティ)です。

メーカー講習を受けないと使用できなかったのですが、当院でもようやく使用できるようになりましたのでご案内したいと思います。


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Clareon Vivityは、”波面制御型焦点深度拡張レンズ”という新しいコンセプトのレンズです。中央にある数μmのレンズで焦点深度を広くすることで手元も遠くも連続的に見えるようにしているとのことです。

これにより、遠くから中間距離までは1.0、近方視は0.6程度(実用生活で困らないくらい見える程度)まで見えるとのことでした。


このような感じで手元もあらかた見えるので、メガネをかける頻度はかなり減るようです。

シンフォニー原理

上の図は従来の多焦点眼内レンズです。断面で見るとギザギザになっており、ここに遠方、中間、近方の度数が入っているので、眼底疾患(黄斑変性症や糖尿病網膜症)や緑内障などの他の病気があると、これらの病気が原因で光の振り分け先が妨げられるため、適応になりませんでした。そのため他の目の病気がある患者が白内障を患うと、単焦点眼内レンズを選択せざるを得ない状況にありました。

しかし,Clareon Vivityは、光を分けるわけでもないので医師による判断で、「慎重実施」という形ではありますが、目の病気がある方でも挿入が可能になります。



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多焦点眼内レンズに関わらず、レンズを選択する上で向いている人、向いていない人がいらっしゃいます。ビビティも例外ではなく、向き不向きがありますので、いかに例を挙げておきます。


向いている人

・夜間のドライブが多い人:従来の多焦点眼内レンズ特有のハロー・グレアによって、夜間の前方車のテールライトや信号機などの光の見え方に違和感が生じることで、運転に支障をきたす可能性があり、推奨できませんでした。

夜間の見え方を重視して単焦点眼内レンズを選んだとしても、運転に必要な遠くの見え方を重視して焦点距離を設定する必要があり、その場合はメーターやナビなどの中間距離へのピント調整ができません。 対してビビティは、ハロー・グレアの発生が単焦点と同程度であり、運転に必要な「遠方」の視界からメーターやナビの「中間」までスムーズに連続して見えます。 自然な見え方になるので運転時に不便になることは少ないと思います。


・ゴルフなどのスポーツをする方:例えばゴルフでは、ショットの際にボールを打つ瞬間(中間)から、打ったボールの軌道を目で追う(遠方)という一連の動作があります。 このような動作に対し、「中間から遠方までスムーズに連続して見える」というビビティの見え方は相性が良いと思います。


向いていない人

・近くの見え方を重視したい人:ビビティ(Vivity)によってカバーできる近方距離は、スマートフォンの操作やメニューを読む際などの「実用的近方(40cm〜50cm)」とされていますが、これらの近方距離でも老眼鏡が必要になる場合もあります。また、手元の作業や細かい文字を読むときは基本的に老眼鏡が必要になります。

そのため、老眼鏡の装用機会を失くしたい方や、近くの見え方も妥協したくない方にはビビティーよりはその他の多焦点眼内レンズの方がご希望に沿える可能性が高いと思います。


・乱視のある人:海外で販売されている、ビビティは乱視の方に対応するレンズがありますが、クラレオン(Clareon)という新世代の素材ではなく、以前の素材になっており、現時点で日本で発売されているものでは乱視の矯正ができません。今後の開発を待つ必要がありますが、まだ先になりそうとのメーカーの答えでした。多焦点眼内レンズは特に乱視の有無によって見え方の満足度に差が出てしまいますので、乱視があるが現時点で選択するのであれば他のレンズの方が見え方にご満足できるかもしれません。


以上のように、クラレオン ビビティは、今まで多焦点を諦めていた方の選択肢になりうる眼内レンズと言われています。しかしながら選定療養でレンズ代が自費になる事もあり、手術を受ける際にはどのようなレンズがご自身に合うか、しっかりとお話し合いの上決めることをお勧めします。


梅の木眼科クリニックでは、保険適応のレンズから現在使用できる選定療養の多焦点眼内レンズを取り揃えており、患者様のニーズをよく聞いた上で一緒に選択するようにしています。もしレンズをどれにしたら良いのかわからないございましたら一度ご相談にいらして下さい。人生の中で2度しかしない白内障手術なので、後悔のない選択となるようお手伝いできればと思います。

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梅の木眼科クリニック

住所:神奈川県横浜市保土ケ谷区西谷1-25-21 ポンデロッサ西谷1F・2F

電話番号:045-371-2666

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